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8 注射

最終更新日:2024年2月29日

タイトル一覧

1.淋菌感染症の治療における第一選択薬として、セフトリアキソンナトリウム(ロセフィン)又はスペクチノマイシン塩酸塩水和物(トロビシン)の注射薬の投与について

《平成29年9月25日》

取扱い

 淋菌感染症の治療における第一選択薬として、セフトリアキソンナトリウム(ロセフィン)又はスペクチノマイシン塩酸塩水和物(トロビシン)の注射薬の投与は、原則として認める。

取扱いを作成した根拠等

 性感染症診断・治療ガイドライン2016(2016年11月1日 日本性感染症学会誌第27巻 第1号)において、淋菌感染症の治療にあっては、経口抗菌薬に関する耐性菌の問題が指摘されており、注射薬である「セフトリアキソン(ロセフィン)」、「スペクチノマイシン(トロビシン)」の2剤が有効とされている。
 保険医療機関及び保険医療養担当規則(以下「療養担当規則」という。) 第二十条第四項のイに「注射は、次に掲げる場合に行う。」とあり、(1)に「経口投与によって胃腸障害を起すおそれがあるとき、経口投与をすることができないとき、又は経口投与によっては治療の効果を期待することができないとき。」とある。
 このことから、淋菌感染症に対するセフトリアキソンナトリウム(ロセフィン)、スペクチノマイシン塩酸塩水和物(トロビシン)の投与は、経口抗菌薬に関する耐性菌の問題が指摘されていることから、療養担当規則第二十条第四項のイに合致していると考えられる。
 また、淋菌感染症は、頻度の高い性感染症であり、性行為による感染伝達率も高いことから、適切な検査・適切な治療を行うことで感染拡大防止を図る必要があり、療養担当規則第二十条第四項のイの(2)「特に迅速な治療の効果を期待する必要があるとき。」にも合致していると考えられる。
 以上のことから、淋菌感染症の治療における第一選択薬として、セフトリアキソンナトリウム(ロセフィン)又はスペクチノマイシン塩酸塩水和物(トロビシン)の注射薬を投与することについては、原則認められると判断した。

2.急性肝炎重症型又は肺高血圧症に対するプロスタンディン点滴静注用500μgの投与について

《平成29年9月25日》

取扱い

 外科手術時ではない、「急性肝炎重症型」又は「肺高血圧症」に対する、プロスタンディン点滴静注用500μgの投与は、原則として認めない。

取扱いを作成した根拠等

 プロスタンディン点滴静注用500μgの適応は、外科手術時の1.低血圧維持と2.異常高血圧の救急処置に使用目的が特化されている製剤である。
 したがって、外科手術時の使用ではない、「急性肝炎重症型」又は「肺高血圧症」の治療のためのプロスタンディン点滴静注用500μgの投与は、原則認められないと判断した。

3.播種性血管内凝固症候群(DIC)の患者に対する脂肪乳剤のイントラリポス輸液の投与について

《平成29年11月27日》

取扱い

 播種性血管内凝固症候群(DIC)の患者に対する脂肪乳剤のイントラリポス輸液の投与は、原則として認めない。

取扱いを作成した根拠等

 イントラリポス輸液は、静注用脂肪乳剤であり、添付文書上の適応症は、「術前・術後、急・慢性消化器疾患、消耗性疾患、火傷(熱傷)・外傷、長期にわたる意識不明状態時の栄養補給」となっている。
 脂肪乳剤のイントラリポス輸液については、その副作用として血栓症の患者において凝固能の亢進により病状が悪化するおそれがあること、また、重篤な血液凝固障害のある患者において出血傾向があらわれるおそれがあることが指摘されている。
 したがって、「DIC」の患者に対する脂肪乳剤のイントラリポス輸液の投与は、原則認められないと判断した。

4.急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変に対するグルカゴンGノボ注射用1mg(溶解液付)とヒューマリンR注カート300単位の併用投与(GI療法)について

《平成30年2月26日》

取扱い

 急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変に対するグルカゴンGノボ注射用1mg(溶解液付)とヒューマリンR注カート300単位の併用投与(GI療法)は、原則として認めない。

取扱いを作成した根拠等

 グルカゴンGノボ注射用1mg(溶解液付)とヒューマリンR注カート300単位の併用療法(GI療法)については、肝細胞再生の促進効果が期待される治療法である。
 しかし、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変に対するグルカゴンGノボ注射用1mg(溶解液付)とヒューマリンR注カート300単位の併用療法(GI療法)は、他に確立した治療薬や治療法があるため、原則認められないと判断した。ただし、劇症化に進むおそれがある急性肝炎の場合等にも配慮し、症例によっては詳記等から判断するケースもある。

5.膀胱洗浄時のアミカシン硫酸塩注射液又はゲンタマイシン硫酸塩注射液の局所使用について

《令和3年8月31日》

取扱い

 膀胱洗浄時のアミカシン硫酸塩注射液又はゲンタマイシン硫酸塩注射液の使用は、原則として認められない。

取扱いを作成した根拠等

 日本泌尿器科学会による「泌尿器科領域における感染制御ガイドライン」(泌尿器科領域における感染制御ガイドライン作成委員会、2009)に「抗菌薬を加えて膀胱洗浄をすることは短期間の感染防止には役立つかもしれないが、尿路感染症の頻度を減少させない。」と示されている。
 したがって、膀胱洗浄時のアミカシン硫酸塩注射液又はゲンタマイシン硫酸塩注射液の使用は、有効性が認められていないこと、加えて用法外使用であることから、原則認められないと判断した。
 なお、膀胱炎における感染症治療の一環としての膀胱内注入又は洗浄する局所投与の用法・用量が承認されている抗生剤は、現在、経口又は局所投与による血中移行のない「日本薬局方 ポリミキシンB硫酸塩」に限られている。

6. ヘパリンナトリウム(ロック製剤)の算定について①

《令和6年2月29日》

取扱い

 中心静脈注射に対するヘパリン(ヘパリンNaロック用10U/mLシリンジ10mL等のロック製剤)の算定は、原則として認められる。

取扱いを作成した根拠等

 中心静脈ルートは持続的に血管内に留置され、管内の凝血が危惧される。
 血液凝固阻止作用を有するヘパリン(ヘパリンNaロック用10U/mLシリンジ10mL等のロック製剤)の留置ルート内充填は凝血抑止に重要である。
 以上のことから、中心静脈注射に対する算定は、原則として認められると判断した。

7. ヘパリンナトリウム(ロック製剤)の算定について②

《令和6年2月29日》

取扱い

① ヘパリン(ヘパリンNaロック用10U/mLシリンジ10mL等のロック製剤)10単位製剤の1日の使
 用量は、原則として4筒まで認められる。
② ヘパリン(ヘパリンNaロック用100U/mLシリンジ10mL等のロック製剤)100単位製剤の1日
 の使用量は、原則として2筒まで認められる。

取扱いを作成した根拠等

 ヘパリン(ヘパリンNaロック用10U/mLシリンジ10mL等のロック製剤)については、添付文書の用法及び用量に関連する注意に「10単位/mL製剤は通常6時間までの、100単位/mL製剤は12時間までを標準とし最長24時間までの静脈内留置ルート内の血液凝固防止(ヘパリンロック)に用いる」と示されている。
 以上のことから、10単位製剤は原則として1日4筒まで、100単位製剤は原則として1日2筒まで認められると判断した。

8. 筋肉内注射用パリビズマブの算定について

《令和6年2月29日》

取扱い

 筋肉内注射用パリビズマブ(遺伝子組換え)製剤(シナジス筋注液)については、RSウイルス感染症の発症抑制に対する投与で認められる。
 ただし、RSウイルス感染症(確定)の治療としての投与は、原則として認められない。
 また、乳幼児以外への投与についても原則として認められない。

取扱いを作成した根拠等

 筋肉内注射用パリビズマブ(遺伝子組換え)製剤(シナジス筋注液)は、効能・効果に「新生児、乳児および幼児におけるRSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症抑制」と示されており、効能・効果に関連する注意に「既に発症したRSウイルス感染症に対する本剤の治療効果は確立されていない。」と示されている。
 本剤はその作用機序より、RSウイルスが宿主細胞に接着・侵入する際に重要な役割を果たすFたん白質に結合してウイルスの感染性を中和し、ウイルスの複製及び増殖を抑制する。
 RSウイルス感染症の治療は、有効な抗ウイルス剤がないため対症療法を行うが、重症化した場合は、酸素投与、補液(点滴)、呼吸管理が行われる。
 このため、当該医薬品について、RSウイルス感染症の発症抑制に対する投与は認められるが、治療薬としては、原則として認められないと判断した。
 また、先天性心疾患、ダウン症候群又は免疫不全等の24ヵ月齢以下の新生児、乳児及び幼児がRSウイルスに感染した場合、重症化する危険性があるが、成人や学童期の小児は数日間の風邪症状で治癒する。
 このため、当該医薬品について、効能・効果に示されている新生児、乳児及び幼児以外の患者に対する投与については、原則として認められないと判断した。

9. 骨粗鬆症等に対するエルカトニン注射液40単位製剤の算定について

《令和6年2月29日》

取扱い

 エルカトニン注射液40単位について、適応は高カルシウム血症と骨ページェット病であり、骨粗鬆症を含め、これら以外の傷病名に対する算定は、原則として認められない。

取扱いを作成した根拠等

 エルカトニン注射液は骨吸収抑制作用や血清カルシウム低下作用を有する薬剤で、「40単位」の添付文書の効能・効果は「高カルシウム血症、骨ページェット病」である。
 一方、「10単位」、「20単位」、「20S」の添付文書の効能・効果は「骨粗鬆症における疼痛」であり、「40単位」とは異なる。
 このため、エルカトニン注射液40単位について、骨粗鬆症を含め、高カルシウム血症又は骨ページェット病以外の傷病名に対する算定は、原則として認められないと判断した。

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