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15 病理診断

最終更新日:2022年1月31日

タイトル一覧

1.乳癌の診断においてD410 乳腺穿刺又は針生検(片側)「2」その他により採取した検体を用いた場合のN000 病理組織標本作製の算定について

≪令和2年7月27日≫

取扱い

 乳癌の診断において、D410 乳腺穿刺又は針生検(片側)「2」その他により採取した検体を用いた場合、N000 病理組織標本作製の算定は原則として認められない。

取扱いを作成した根拠等

 D410 乳腺穿刺又は針生検(片側)「2」その他は、細い針(ファインニードル等)を乳房の目的部位に直視下あるいは超音波下に誘導して穿刺、吸引して細胞を含んだ穿刺液を得る採取料であり、病理標本作製料はN004 細胞診「2」穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等によるものを算定するものである。
 N000 病理組織標本作製の検体採取は、D410 乳腺穿刺又は針生検(片側)「1」生検針によるもの又はD417 組織試験採取、切採法「10」乳腺により算定するものであり、D410 乳腺穿刺又は針生検(片側)「2」その他により算定するものではない。
 乳癌の診断時に実施されるN000 病理組織標本作製は、「腫瘍(しこり)部分に太い針(コアニードル等)を刺し、細胞一つ一つではなく組織の塊を切り取ることで良性か悪性かの鑑別を行い、鑑別だけでなく、悪性の場合は特徴まで把握できる」病理診断である。
 乳癌の診断においては、細胞診用に採取された検体から組織検体のようなパラフィンブロックを作成するセルブロック法がある。
 セルブロック法については、N000 病理組織標本作製の留意事項通知に「「セルブロック法によるもの」は、悪性中皮腫を疑う患者又は組織切片を検体とした病理組織標本作製が実施困難な肺悪性腫瘍、胃癌、大腸癌、卵巣癌若しくは悪性リンパ腫を疑う患者に対して、穿刺吸引等により採取した検体を用いてセルブロック法により標本作製した場合に算定する」と示されているが、乳癌における取扱いは、病理標本作製料の告示及び留意事項通知に示されていない。
 日本乳癌学会乳癌診療ガイドライン2015 年版において、セルブロック標本によるHER2 のIHC 法の信頼性については、原発巣ないし転移巣からの針生検ないし切除標本と、穿刺吸引細胞診検体を用いたセルブロック標本との比較による検討において、アルコール固定された場合の一致率が悪く、一定の見解を得るには至っていないとされている。
 乳癌におけるセルブロック法は、告示及び留意事項通知に示されていないこと、また、診断結果の信頼性が十分ではないことから、N000 病理組織標本作製により算定することはできないが、組織採取ができない場合等やむを得ない理由がある場合は、その可否を医学的に判断する必要がある。
 以上のことから、乳癌の診断においてD410 乳腺穿刺又は針生検(片側)「2」その他により採取した検体を用いた場合、N000 病理組織標本作製の算定は、原則認められないと判断した。

2.診断穿刺・検体採取料等の算定がない場合のN000病理組織標本作製の算定について

≪令和4年1月31日≫

取扱い

 診断穿刺・検体採取料又は手術料の算定がない場合、N000病理組織標本作製の算定は原則として認められない。

取扱いを作成した根拠等

 医科点数表告示第13部病理診断の通則1において、「病理診断に当たって患者から検体を穿刺し又は採取した場合は、第1節及び第2節並びに第3部第4節の各区分の所定点数を合算した点数により算定する。」と示されている。
 医科点数表告示第3部第4節診断穿刺・検体採取料の通則1において、「手術に当たって診断穿刺又は検体採取を行った場合は算定しない。」と示されている。
 病理組織標本作製とは「採取した生体組織から標本を作製し、病理診断を行う」ものであり、検体は手術で組織を切除して採取するほか、内視鏡や針生検などで病変部の組織を採取したものである。
 以上のことから、診断穿刺・検体採取料又は手術料の算定がない場合、N000病理組織標本作製の算定は原則として認めないこととした。
 ただし、診断穿刺・検体採取料が算定できない場合(他院で検体摘出等)については、個々の症例により判断する必要がある。

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