11 処置
最終更新日:2024年2月29日
タイトル一覧
- 1.J097鼻処置とJ105副鼻腔洗浄又は吸引の併算定の取扱いについて
- 2.単なる浣腸又は坐薬挿入時のキシロカインゼリーの使用について
- 3.便秘症の病名がない場合の高位浣腸及び摘便の算定について
- 4.検査、画像診断時の前処置としての高位浣腸、高圧浣腸及び洗腸の算定について
- 5.耳垢栓塞除去(複雑なもの)(両側)の算定について
- 6.ネブライザ又は超音波ネブライザ時の生理食塩液の算定について
1.J097鼻処置とJ105副鼻腔洗浄又は吸引の併算定の取扱いについて
≪平成29年4月24日≫
取扱い
副鼻腔洗浄に伴う単なる鼻処置以外の鼻処置を必要とする副鼻腔炎以外の傷病名または症状詳記の記載がなく、J097鼻処置とJ105副鼻腔洗浄又は吸引が併せて算定されている場合、医学的に単なる鼻処置以外の鼻処置と判断できない場合のJ097鼻処置の算定は、原則として認めない。
取扱いを作成した根拠等
副鼻腔洗浄に伴う単なる鼻処置とは、中鼻道を中心とした処置で、中鼻道の拡大(開放)、鼻汁の吸引、洗浄を行う処置や局所麻酔剤によって痛みを止めるような処置または処置部位を中鼻道に限定せず、副鼻腔洗浄に伴う処置を総合したものであり、副鼻腔洗浄を行う際、中鼻道だけを拡大するわけにはいかないため、スプレーをしたり、綿棒で触ったり、綿糸を入れたり、中鼻道はもちろん総鼻道等、他の部位も一緒に処置をすることになる。それらの処置を総合したものを「副鼻腔洗浄に伴う単なる鼻処置」と判断する。
平成28年3月4日付け保医発0304第3号「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」別添1の第2章第9部処置のJ097鼻処置にある副鼻腔洗浄に伴う単なる鼻処置ではない処置と医学的に判断できる処置とは、中鼻道以外の部位に対する処置で鼻前庭、嗅裂の痂皮の除去、単純鼻出血に対する処置及び上咽頭の処置または痂皮がつかないようにする薬剤やステロイドを塗布するような処置である。
しかしながら、副鼻腔洗浄を行う際は、中鼻道だけを拡大するわけにはいかず、中鼻道はもちろん総鼻道等、他の部位も一緒に処置をするが、レセプト書面審査上、鼻腔内の部位までは判断できないため、必要に応じて病名または、症状詳記等の記載がないと判断はできない。
また、双方の処置が同日に併算定されている症例は少なく、上鼻道及び中鼻道以外の部位に対する処置で鼻前庭、嗅裂の痂皮の除去及び上咽頭の処置または痂皮がつかないようにする薬剤やステロイドを塗布するような処置を行う場合もあるが、必然的に病名や症状詳記等があると思われる。
このため、副鼻腔洗浄に伴う単なる鼻処置以外の鼻処置を必要とする副鼻腔炎以外の傷病名または症状詳記の記載がなく、鼻処置と副鼻腔洗浄又は吸引が併せて算定されている場合、医学的に単なる鼻処置以外の鼻処置と判断できない場合の鼻処置の算定は原則認めないと判断した。
2.単なる浣腸又は坐薬挿入時のキシロカインゼリーの使用について
《平成29年9月25日》
取扱い
単なる浣腸又は坐薬挿入時のキシロカインゼリー2%の使用は、原則として認めない。
取扱いを作成した根拠等
キシロカインゼリー2%は、表面麻酔剤であり、表面麻酔を必要とする検査・処置・手術等に際して使用するものである。
「浣腸」や「坐薬挿入」時の使用は、単なる潤滑油的な使用であり、麻酔の必要性がない場合は、当該薬剤は適応外と考える。
したがって、疼痛を伴わない、単なる「浣腸」や「坐薬挿入」時における表面麻酔剤キシロカインゼリー2%の使用は、原則認められないと判断した。
3. 便秘症の病名がない場合の高位浣腸及び摘便の算定について
《令和6年2月29日》
取扱い
便秘症の病名がない場合のJ022高位浣腸及びJ022-2摘便の算定は、原則として認められない。
取扱いを作成した根拠等
高位浣腸は、大量の微温湯、生理食塩水などを容器(イリゲーター)の中に入れ、同容器を高く挙上(約100cm)して、経管的に大腸に注入することで腸内容を除去する方法である(イリゲーターを50cm程度高く挙上して行う場合は高圧浣腸、また、回収液が透明になるまで当該行為を繰り返す場合は洗腸)。
高位浣腸及び高圧浣腸は、腸重積や腸閉塞、高度便秘症等に対する治療、洗腸は大腸手術の術前大腸洗浄(現在は経口剤による腸洗浄の普及でほとんど行われない)を目的として行われる。摘便は、便塊を用指的に摘出するものであり、高齢者や寝たきり状態等で排便困難な便秘症に対して行われる。
このため、便秘症の傷病名がない場合のJ022高位浣腸及びJ022-2摘便の算定は、原則として認められないと判断した。
4. 検査、画像診断時の前処置としての高位浣腸、高圧浣腸及び洗腸の算定について
《令和6年2月29日》
取扱い
検査、画像診断時の前処置としてのJ022高位浣腸、高圧浣腸及び洗腸の算定は、原則として認められない。
取扱いを作成した根拠等
高位浣腸は、大量の微温湯、生理食塩水などを容器(イリゲーター)の中に入れ、同容器を高く挙上(約100cm)して、経管的に大腸に注入することで腸内容を除去する方法である(イリゲーターを50cm程度高く拳上して行う場合は高圧浣腸、また、回収液が透明になるまで当該行為を繰り返すことが洗腸)。
①J022高位浣腸及び高圧浣腸は、腸重積や腸閉塞、高度便秘症等に対する治療、洗腸は大腸手術の術前大腸洗浄(現在は経口剤による大腸洗浄の普及でほとんど行われない)を目的として行われる処置であり、通常の検査、画像診断の前処置として行う必要性はない。また、②E003造影剤注入手技「6」腔内注入及び穿刺注入のイ注腸に係る厚生労働省通知※に「「6」の「イ」注腸を実施する際の前処置として行った高位浣腸の処置料は所定点数に含まれ、別途算定できない。」と示されている。
①及び②より、検査、画像診断時の前処置としてのJ022高位浣腸、高圧浣腸及び洗腸の算定は、原則として認められないと判断した。
(※)診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について
5. 耳垢栓塞除去(複雑なもの)(両側)の算定について
《令和6年2月29日》
取扱い
傷病名に(両)又は(両側)の記載がない耳垢栓塞に対するJ113耳垢栓塞除去(複雑なもの)「2」両側の算定は、原則として認められない。
取扱いを作成した根拠等
処置料については、厚生労働省告示※に「対称器官に係る処置の各区分の所定点数は、特に規定する場合を除き、両側の器官の処置料に係る点数とする。」と示されており、耳垢栓塞除去の所定点数は、片側と両側それぞれに点数が設定されていることから、「両側」の算定に当たっては、その旨明確である必要がある。
以上のことから、傷病名に(両)又は(両側)の記載がない耳垢栓塞に対する同処置「2」両側の算定は、原則として認められないと判断した。
(※)診療報酬の算定方法
6. ネブライザ又は超音波ネブライザ時の生理食塩液の算定について
《令和6年2月29日》
取扱い
J114ネブライザ又はJ115超音波ネブライザ時の生理食塩液の算定は、原則として認められる。
取扱いを作成した根拠等
ネブライザ又は超音波ネブライザは、霧状にした薬液を口や鼻から吸入・散布する治療法である。生理食塩液は、効能・効果及び用法・用量において、「注射用医薬品の希釈、溶解」や「含嗽・噴霧吸入剤として気管支粘膜の洗浄・喀痰排出促進」に用いるとされており、本処置における薬剤の希釈・溶解や喀痰排出促進を目的とした噴霧吸入剤として使用する。
このため、J114ネブライザ又はJ115超音波ネブライザ時の生理食塩液の算定は、原則として認められると判断した。