わが国の健康保険制度は昭和2年に創設されましたが、当時の疾病又は負傷に対する療養の給付は、いわゆる現物給付を原則とし、その診療報酬は保険者と日本医師会、日本歯科医師会との診療契約により支払われていました。
ところが、昭和22年11月にそれまで医療費の審査・支払を行ってきた両医師会が解散となったため、保険診療を確保するための対応策が必要となり、昭和23年2月に暫定措置として保険医指導委員会が設置され、保険医の指導と診療報酬請求書の審査を行うこととなりました。また、支払事務は、政府管掌分は社会保険協会が、組合管掌分は健康保険組合連合会支部が行うこととされました。
しかし、保険医指導委員会や社会保険協会の法的責任が明確ではないこと、支払遅延が深刻化したことなどから、審査・支払を一元的に行う機関の創設が必要となり、昭和23年の第2回国会に「社会保険診療報酬支払基金法案」が提出され同年7月に成立しました。
こうして支払基金は昭和23年9月1日から業務を開始し、「全国の保険医療機関等から請求される診療報酬を審査したうえで、保険者ごとに取りまとめて請求し、医療機関へ支払う」という診療報酬の審査・支払が一元化されることとなりました。
その後、医療保険制度の充実・進展とともに支払基金の取扱業務は拡大し、今日では、被用者のための医療保険(被用者保険)、公費負担の諸制度に係る診療報酬の審査・支払業務のほか、高齢者医療制度・介護保険における保険者との財政調整業務や医療保険者等向け中間サーバーの運営を行う社会保障・税番号制度関係業務等に大きな役割を果たしてきています。
このように支払基金は、医療保険制度の円滑な運営に欠くことのできない各種サービスを提供し、顧客満足度を高めることを第一の目標とする組織として歩み続けています。
年月 | 主なあゆみ |
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昭和23年7月 | 社会保険診療報酬支払基金法公布 |
昭和23年9月 | 健康保険法による診療報酬の審査・支払業務を開始 |
昭和23年12月 | 審査委員会規程公布 |
昭和47年5月 | 沖縄県の復帰により、沖縄県基金事務所を開所 |
昭和51年11月 | 全支部において計算事務を機械処理へ |
昭和58年2月 | 老人保健関係業務の取扱いを開始 |
昭和59年10月 | 退職者医療関係業務の取扱いを開始 |
平成3年10月 | 特定の医療機関を対象としたレセプト電算処理システムのパイロットスタディを開始 |
平成6年4月 | 福井・香川支部にレセプトOCR処理システムを導入(以降全支部に配置) |
平成6年11月 | 訪問看護療養費・入院時食事療養費の審査支払業務の取扱いを開始 |
平成7年8月 | 審査に関する支部間差異解消のための検討委員会を設置 |
平成9年10月 | 地域指定でレセプト電算処理医科システムが本格稼動 |
平成11年4月 | 審査充実3か年計画を策定(第1次~第3次まで実施) |
平成11年6月 | 医療費助成事業の審査支払業務の受託を開始 |
平成12年4月 | 介護保険関係業務の取扱いを開始 |
平成14年11月 | レセプト電算処理医科システムにおいて画面による審査開始 |
平成15年1月 | レセプト電算処理医科システムが全国において本格稼動(調剤システムは2月本格稼動) |
平成15年10月 | 支払基金民間法人化 |
平成16年4月 | 社会保険診療報酬支払基金情報セキュリティポリシーを策定 |
平成17年4月 | 審査情報提供事例を公表 |
平成18年4月 | 医療費助成事業の審査支払事務について受託できる事業の範囲が拡大 |
平成18年4月 | 医療機関等からのオンライン請求を開始 |
平成18年4月 | レセプト電子データ提供を開始 |
平成19年7月 | 保険者へのオンライン請求を開始 |
平成20年4月 | 高齢者の医療の確保に関する法律に基づく業務等を開始 |
平成20年4月 | 特定健康診査等に係る費用の決済代行業務を開始 |
平成20年4月 |
新・審査充実計画を策定 |
平成21年10月 | 歯科レセプトに係るオンラインによる受付を開始 レセプト電算処理システムのすべて(医科、DPC、歯科)において電子レセプトの審査体制が整う |
平成21年11月 |
出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度の実施に伴う業務を開始 |
平成22年2月 | 「国民の信頼に応える審査の確立に向けて」検討会報告書 |
平成22年3月 | 医科電子点数表を公表 |
平成22年4月 | 「基本理念」と「職員行動指針」を策定 |
平成22年6月 | オンライン請求の医療機関、薬局を対象に振込額明細データの提供を開始 |
平成22年7月 | オンラインによる再審査等請求の受付を開始 |
平成22年10月 | 歯科電子点数表を公表 |
平成23年1月 | 支払基金サービス向上計画を策定 |
平成23年10月 |
オンラインによる請求前資格確認を開始 |
平成24年1月 |
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法による給付金等の支給業務を開始 |
平成24年3月 |
電子レセプトの突合点検・縦覧点検を開始 |
平成28年4月 | すべての紙レセプトを画像化の上、保険者に画像データとして請求を開始 |
平成28年6月 |
「今日における審査支払業務のあるべき姿と社会保険診療報酬支払基金改革について」を公表 |
平成29年4月 |
支払基金における審査の一般的な取扱いを公表 |
平成29年7月 |
支払基金業務効率化・高度化計画を策定 |
平成29年7月 |
国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画を策定 |
平成29年11月 |
医療保険者等向け中間サーバー等の本格運用開始 |
平成30年3月 |
審査支払機関改革における支払基金での今後の取組を公表 |
平成30年3月 |
コンピュータチェックルールを公開 |
平成30年6月~12月 |
審査事務の集約に向けた実証テストを実施 |
令和2年1月 |
医療機関等情報化補助業務の取扱いを開始 |
令和2年3月 |
審査事務集約化計画工程表を策定 |
令和2年10月 |
保健医療情報関連業務の取扱いを開始 |
令和2年10月 |
効率的な業務運営に向けた「基本理念」を支払基金定款に規定 |
令和3年9月 | 既存の支部ごとに設定したコンピュータチェックルールをすべて本部に集約又は廃止 |
令和3年9月 | 審査支払新システムを稼働 |
令和3年10月 | オンライン資格確認の本格運用を開始 |
令和4年1月 | 連結情報提供業務の開始 |
令和4年10月 | 審査事務集約による全国統一的な業務実施体制を構築 |
令和5年1月 | 電子処方箋管理サービスの運用開始 |