最終更新日:2016年4月1日
2010年度で比較すると、健康保険審査評価院では、
① 職員数が約1,700人
② 事務費総額が167億円(=2,303億ウォン)
となっています。これに対し、支払基金では、
① 職員数が4,934人
② 事務費総額が828億円
となっています(図表1参照)。
しかしながら、韓国では、健康保険審査評価院は、診療報酬の審査のみを実施する機関であり、診療報酬の支払に関しては、保険者である国民健康保険公団が実施しています。これに対し、日本では、支払基金は、診療報酬の支払も実施する機関です(図表2参照)。
このため、健康保険審査評価院との比較の対象となる支払基金の職員数及び事務費総額については、審査に係る分と支払に係る分とがおおむね半々であることを前提とすると、審査に係る分に限定して2010年度で
2,467人及び414億円とすることが適切ではないか、と考えています(図表1参照)。
また、2010年度で比較すると、健康保険審査評価院では、
① 保険者数が1か所
② 医療機関数が8万2千か所
③ 医療費総額が3.6兆円(=49兆ウォン)
となっています。これに対し、支払基金では、
① 保険者数が1万3千か所
② 医療機関数が22万8千か所
③ 医療費総額が10.1兆円
となっています(図表1参照)。
このように、医療保険制度の規模が日韓間で大きく異なるため、支払基金の職員数及び事務費総額を健康保険審査評価院との間で単純に比較することは、適切でないのでないか、と考えています。
これらを踏まえ、審査に係る職員1人当たりの医療費の額及び医療費総額に対する審査に係る事務費総額の比率について、2010年度で比較すると、健康保険審査評価院では、20.9億円(=288億ウォン)及び0.46%となっているのに対し、支払基金では、40.9億円及び0.41%となっています(図表1参照)。
したがって、支払基金の事業運営の効率性が健康保険審査評価院との間で大きく異なる訳ではないのでないか、と考えています。
むしろ、審査関係訴訟については、かつて保険者の一部であった健康保険審査評価院では、年間で30件程度に達しています。これに対し、独立の第三者機関として保険者と医療機関との間で公正に事業を運営する支払基金では、昭和23年9月における支払基金の設立以来の累計で30件にとどまっています。
このように、支払基金は、保険者や医療機関との間での診療報酬の審査支払をめぐる紛争の予防を通じ、医療保険制度の効率的な運営に寄与してきたのでないか、と考えています。