疑問2 保険者に対してレセプト点検を実施する事務処理負担を軽減するとともに、医療機関等に対して適正なレセプトの提出を促進するため、審査の基準を公開する取扱いとすべきではないか。
最終更新日:2016年4月1日
1 審査基準の公開に関する考え方
審査基準の公開については、支払基金「今後の審査委員会のあり方に関する検討会」の報告書(平成22年2月26日)において、次のとおり見解が分かれた状況となっています。
① 「医療がある程度標準化されることが必要であり、そのために審査基準を公開すべきである。」
② 「ルールを公開することによって適正なレセプトが提出される効果がある。」
③ 「審査基準の公開は、基準ぎりぎりまで請求する保険医療機関等を増やすこととなり、保険診療の適正化に繋がらない。」
2 コンピュータチェックに係るロジックの公開の意味
コンピュータチェックの内容を公開すべきとの意見もありますが、コンピュータチェックとは、電子レセプトの構造及び診療報酬の算定要件を機械的な言語で定義したプログラムを使用して診療報酬の算定内容の適否を点検することをいいます。
このようなコンピュータチェックに係るロジックの公開は、審査基準の公開を意味します。
加えて、審査は、保険診療ルールに適合するかどうかの確認ですが、現行の保険診療ルールは、患者の個別性を重視する医療の要請との関係で相当程度の裁量の余地を認めています。したがって、審査事務を担当する職員又は審査委員による目視でのチェックをすべてコンピュータチェックで代替することは、困難です。言い換えると、コンピュータチェックは、職員の審査事務及び審査委員の審査を補助するためのものであって、自動的に査定とするためのものではありません。
したがって、コンピュータチェックに係るロジックの公開については、慎重に対応することが必要です。
これらのことから、コンピュータチェックに係るロジックを含め審査委員会における審査の取扱い等を公表することは、考えておりません。
3 審査の透明性の向上
審査に対する関係者の信頼を確保するため、審査の透明性の向上を図ることはもちろん重要です。
このため、現行でも、次に掲げる取組み等を実施しています。(詳細については、支払基金サービス向上計画及び平成23年度フォローアップを参照ください。)
① ASPを通じてオンラインで電子レセプトを受け付ける段階で記録漏れ等に関する事務点検を実施する対象となる項目を公表していること。
② 審査における一般的な取扱いについて、審査情報提供検討委員会(注釈1)又は審査情報提供歯科検討委員会(注釈2)での協議を経て、審査情報提供事例(注釈3)を随時公表していること。
③ 支払基金から保険者又は医療機関等への連絡のほか、保険者又は医療機関等から支払基金への相談を通じ、審査の結果に関する理由を説明していること。
④ 必要に応じ、審査委員又は職員より、医療機関等に対して、文書連絡又は電話連絡を実施するとともに、査定又は返戻が顕著に見受けられ、文書連絡又は電話連絡で繰り返された改善要請が効を奏しない等の医療機関等に対して、審査委員又は職員が懇談を実施していること。
⑤ 保険者団体、診療担当者団体等との間で打合せ会を開催していること。
注釈1
審査情報提供検討委員会は、審査の透明性の向上を通じて審査の公正性及び信頼性の確保に資するよう、医科に係る審査情報提供事例を検討するため、平成16年7月に設置された。これは、支払基金の公益代表理事、保険者代表理事、診療担当者代表理事等のほか、厚生労働省保険局医療課長及び国民健康保険中央会参与によって構成される。
注釈2
審査情報提供歯科検討委員会は、審査の透明性の向上を通じて審査の公正性及び信頼性の確保に資するよう、歯科に係る審査情報提供事例を検討するため、平成23年6月に設置された。これは、支払基金の公益代表理事、保険者代表理事、診療担当者代表理事等のほか、厚生労働省保険局歯科医療管理官及び国民健康保険中央会参与によって構成される。
注釈3
審査情報提供事例とは、審査における一般的な取扱いに関する事例であって、関係者に対する情報提供の対象となるものをいう。
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