403 シクロホスファミド水和物⑤(造血・免疫細胞療法2)
最終更新日:2024年2月26日
《令和7年2月26日新規》
標榜薬効(薬効コード)
アルキル化剤(421)
成分名
シクロホスファミド水和物【注射薬】
主な製品名
注射用エンドキサン100mg、同500mg
承認されている効能・効果
・下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解
多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、肺癌、乳癌、急性白血病、真性多血症、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌、神経腫瘍(神経芽腫、網膜芽腫)、骨腫瘍
ただし、下記の疾患については、他の抗悪性腫瘍剤と併用することが必要である。
慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、咽頭癌、胃癌、膵癌、肝癌、結腸癌、睾丸腫瘍、絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)、横紋筋肉腫、悪性黒色腫
・以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)
・褐色細胞腫
・下記疾患における造血幹細胞移植の前治療
急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、重症再生不良性貧血、悪性リンパ腫、遺伝性疾患(免疫不全、先天性代謝障害及び先天性血液疾患:Fanconi貧血、Wiskott-Aldrich症候群、Hunter病等)
・造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制
・腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置
・全身性ALアミロイドーシス
・治療抵抗性の下記リウマチ性疾患
全身性エリテマトーデス、全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、高安動脈炎等)、多発性筋炎/皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、及び血管炎を伴う難治性リウマチ性疾患
承認されている用法・用量
〈自覚的並びに他覚的症状の緩解〉
(1)単独で使用する場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日1回100mgを連日静脈内に注射し、患者が
耐えられる場合は1日量を200mgに増量する。
総量3000~8000mgを投与するが、効果が認められたときは、できる限り長期間持続する。白血球数が
減少してきた場合は、2~3日おきに投与し、正常の1/2以下に減少したときは、一時休薬し、回復を待っ
て再び継続投与する。
間欠的には、通常成人300~500mgを週1~2回静脈内に注射する。
必要に応じて筋肉内、胸腔内、腹腔内又は腫瘍内に注射又は注入する。
また、病巣部を灌流する主幹動脈内に1日量200~1000mgを急速に、あるいは、持続的に点滴注入す
るか、体外循環を利用して1回1000~2000mgを局所灌流により投与してもよい。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(2)他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合
単独で使用する場合に準じ、適宜減量する。
悪性リンパ腫に用いる場合、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日1回
750mg/㎡(体表面積)を間欠的に静脈内投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
〈乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〉
(1)ドキソルビシン塩酸塩との併用において、標準的なシクロホスファミドの投与量及び投与方法は、シクロ
ホスファミド(無水物換算)として1日1回600mg/㎡(体表面積)を静脈内投与後、13日間又は20日間休薬
する。これを1クールとし、4クール繰り返す。
なお、年齢、症状により適宜減量する。
(2)エピルビシン塩酸塩との併用において、標準的なシクロホスファミドの投与量及び投与方法は、シクロ
ホスファミド(無水物換算)として1日1回600mg/㎡(体表面積)を静脈内投与後、20日間休薬する。こ
れを1クールとし、4~6クール繰り返す。
なお、年齢、症状により適宜減量する。
(3)エピルビシン塩酸塩、フルオロウラシルとの併用において、標準的なシクロホスファミドの投与量及び投
与方法は、シクロホスファミド(無水物換算)として1日1回500mg/㎡(体表面積)を静脈内投与後、20日
間休薬する。これを1クールとし、4~6クール繰り返す。
なお、年齢、症状により適宜減量する。
〈褐色細胞腫〉
ビンクリスチン硫酸塩、ダカルバジンとの併用において、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物
換算)として1日1回750mg/㎡(体表面積)を静脈内投与後、少なくとも20日間休薬する。これを1クー
ルとし、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
〈造血幹細胞移植の前治療〉
(1)急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群の場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回60mg/kgを2~3時間かけて点滴静
注し、連日2日間投与する。
(2)重症再生不良性貧血の場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2~3時間かけて点滴静
注し、連日4日間投与する。
(3)悪性リンパ腫の場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2~3時間かけて点滴静
注し、連日4日間投与する。
患者の状態、併用する薬剤により適宜減量すること。
(4)遺伝性疾患(免疫不全、先天性代謝障害及び先天性血液疾患:Wiskott-Aldrich症候群、Hunter病等)の
場合
通常、シクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2~3時間かけて点滴静注し、連
日4日間又は1日1回60mg/kgを2~3時間かけて点滴静注し、連日2日間投与するが、疾患及び患者の状態
により適宜減量する。
Fanconi貧血に投与する場合には、細胞の脆弱性により、移植関連毒性の程度が高くなるとの報告がある
ので、総投与量40mg/kg(5~10mg/kgを4日間)を超えないこと。
〈造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制〉
通常、シクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2~3時間かけて点滴静注し、移植後3
日目及び4日目、又は移植後3日目及び5日目の2日間投与する。
なお、患者の状態により適宜減量する。
〈腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置〉
再生医療等製品の用法及び用量又は使用方法に基づき使用する。
〈全身性ALアミロイドーシス〉
他の薬剤との併用において、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として週1回300mg/㎡
(体表面積)を静脈内注射する。投与量の上限は、1回量として500mgとする。
〈治療抵抗性のリウマチ性疾患〉
(1)通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日1回
500~1000mg/㎡(体表面積)を静脈内に注射する。原則として投与間隔を4週間とする。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(2)通常、小児にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日1回
500mg/㎡(体表面積)を静脈内に注射する。原則として投与間隔を4週間とする。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
薬理作用
同種抗原に反応したT細胞に対する殺細胞効果
使用例
原則として、「シクロホスファミド水和物【注射薬】」を「臍帯血移植を除く造血幹細胞移植(HLA半合致移植以外)における移植片対宿主病の抑制」に対して使用した場合、当該使用事例を審査上認める。
使用例において審査上認める根拠
薬理作用が同様であり、妥当と推定される。
留意事項
当該使用例の用法・用量
通常、シクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2〜3時間かけて点滴静注し、移植後3日目及び4日目、又は移植後3日目及び5日目の2日間投与する。
なお、患者の状態により適宜減量する。
その他参考資料等
updated consensus recommendations of the EBMT (Lancet Haematol 2024)
お問い合わせ
審査統括部 内科審査課、外科・混合審査課
〒105-0004 東京都港区新橋二丁目1番3号
電話:03-3591-7441
