382 シクロホスファミド水和物④(血栓止血1)
最終更新日:2023年2月27日
《令和5年2月27日新規》
標榜薬効(薬効コード)
アルキル化剤(421)
成分名
シクロホスファミド水和物【内服薬・注射薬】
主な製品名
経口用エンドキサン原末、エンドキサン錠50㎎、注射用エンドキサン100㎎、同500㎎
承認されている効能・効果
① 経口用エンドキサン原末
② エンドキサン錠50㎎
③ 注射用エンドキサン100㎎、同500㎎
○ 下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解【①、②及び③】
多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、肺癌、乳癌、急性白血病、真性多血症、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌、神
経腫瘍(神経芽腫、網膜芽腫)、骨腫瘍
ただし、下記の疾患については、他の抗悪性腫瘍剤と併用することが必要である。
慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、咽頭癌、胃癌、膵癌、肝癌、結腸癌、睾丸腫瘍、絨毛性疾患
(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)、横紋筋肉腫、悪性黒色腫
○ 以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法【③】
乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)
○ 褐色細胞腫【③】
○ 下記疾患における造血幹細胞移植の前治療【③】
急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、重症再生不良性貧血、悪性リンパ腫、遺伝性疾患
(免疫不全、先天性代謝障害及び先天性血液疾患:Fanconi貧血、Wiskott-Aldrich症候群、Hunter病等)
○ 腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置【③】
○ 全身性ALアミロイドーシス【②及び③】
○ 治療抵抗性の下記リウマチ性疾患【①、②及び③】
全身性エリテマトーデス、全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動
脈炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、高安動脈炎等)、多発性筋炎/皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織
病、及び血管炎を伴う難治性リウマチ性疾患
○ ネフローゼ症候群(副腎皮質ホルモン剤による適切な治療を行っても十分な効果がみられない場合に限
る。)【①及び②】
○ 細胞移植に伴う免疫反応の抑制【②】
承認されている用法・用量
〈自覚的並びに他覚的症状の緩解〉
【① 経口用エンドキサン原末】
(1)単独で使用する場合
本剤を溶解し、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日100~200mgを経口投
与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
(2)他の抗腫瘍剤と併用する場合
単独で使用する場合に準じ、適宜減量する。
【② エンドキサン錠50㎎】
(1)単独で使用する場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日100~200mgを経口投与する。なお、
年齢、症状により適宜増減する。
(2)他の抗腫瘍剤と併用する場合
単独で使用する場合に準じ、適宜減量する。
【③ 注射用エンドキサン100㎎、同500㎎】
(1)単独で使用する場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日1回100mgを連日静脈内に注射し、患
者が耐えられる場合は1日量を200mgに増量する。総量3000~8000mgを投与するが、効果が認められ
たときは、できる限り長期間持続する。白血球数が減少してきた場合は、2~3日おきに投与し、正常の
1/2以下に減少したときは、一時休薬し、回復を待って再び継続投与する。
間欠的には、通常成人300~500mgを週1~2回静脈内に注射する。必要に応じて筋肉内、胸腔内、腹
腔内又は腫瘍内に注射又は注入する。
また、病巣部を灌流する主幹動脈内に1日量200~1000mgを急速に、あるいは、持続的に点滴注入す
るか、体外循環を利用して1回1000~2000mgを局所灌流により投与してもよい。なお、年齢、症状に
より適宜増減する。
(2)他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合
単独で使用する場合に準じ、適宜減量する。悪性リンパ腫に用いる場合、通常、成人にはシクロホス
ファミド(無水物換算)として1日1回750mg/m2(体表面積)を間欠的に静脈内投与する。なお、年
齢、症状により適宜増減する。
〈乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〉
【③ 注射用エンドキサン100㎎、同500㎎】
(1)ドキソルビシン塩酸塩との併用において、標準的なシクロホスファミドの投与量及び投与方法は、シク
ロホスファミド(無水物換算)として1日1回600mg/m2(体表面積)を静脈内投与後、20日間休薬す
る。これを1クールとし、4クール繰り返す。
なお、年齢、症状により適宜減量する。
(2)エピルビシン塩酸塩との併用において、標準的なシクロホスファミドの投与量及び投与方法は、シクロ
ホスファミド(無水物換算)として1日1回600mg/m2(体表面積)を静脈内投与後、20日間休薬す
る。これを1クールとし、4~6クール繰り返す。なお、年齢、症状により適宜減量する。
(3)エピルビシン塩酸塩、フルオロウラシルとの併用において、標準的なシクロホスファミドの投与量及び
投与方法は、シクロホスファミド(無水物換算)として1日1回500mg/m2(体表面積)を静脈内投与
後、20日間休薬する。これを1クールとし、4~6クール繰り返す。なお、年齢、症状により適宜減量す
る。
〈褐色細胞腫〉
【③ 注射用エンドキサン100㎎、同500㎎】
ビンクリスチン硫酸塩、ダカルバジンとの併用において、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換
算)として1日1回750mg/m2(体表面積)を静脈内投与後、少なくとも20日間休薬する。これを1クールと
し、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
〈造血幹細胞移植の前治療〉
【③ 注射用エンドキサン100㎎、同500㎎】
(1)急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群の場合通常、成人にはシクロホスファミド(無水物
換算)として、1日1回60mg/kgを2~3時間かけて点滴静注し、連日2日間投与する。
(2)重症再生不良性貧血の場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2~3時間かけて点滴
静注し、連日4日間投与する。
(3)悪性リンパ腫の場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2~3時間かけて点滴静
注し、連日4日間投与する。患者の状態、併用する薬剤により適宜減量すること。
(4)遺伝性疾患(免疫不全、先天性代謝障害及び先天性血液疾患:Wiskott-Aldrich症候群、Hunter病等)
の場合
通常、シクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2~3時間かけて点滴静注し、
連日4日間又は1日1回60mg/kgを2~3時間かけて点滴静注し、連日2日間投与するが、疾患及び患者の
状態により適宜減量する。Fanconi貧血に投与する場合には、細胞の脆弱性により、移植関連毒性の程
度が高くなるとの報告があるので、総投与量40mg/kg(5~10mg/kgを4日間)を超えないこと。
〈腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置〉
【③ 注射用エンドキサン100㎎、同500㎎】
再生医療等製品の用法及び用量又は使用方法に基づき使用する。
〈全身性ALアミロイドーシス〉
【② エンドキサン錠50㎎】
他の薬剤との併用において、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として週1回300mg/
m2(体表面積)を経口投与する。投与量の上限は、1回量として500mgとする。
【③ 注射用エンドキサン100㎎、同500㎎】
他の薬剤との併用において、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として週1回300mg/
m2(体表面積)を静脈内注射する。投与量の上限は、1回量として500mgとする。
〈治療抵抗性のリウマチ性疾患〉
【① 経口用エンドキサン原末】
本剤を溶解し,通常,成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日50~100mgを経口投与
する。なお,年齢,症状により適宜増減する。
【② エンドキサン錠50㎎】
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日50~100mgを経口投与する。なお、
年齢、症状により適宜増減する。
【③ 注射用エンドキサン100㎎、同500㎎】
(1)通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日1回500~1000mg/m2(体表面積)
を静脈内に注射する。原則として投与間隔を4週間とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。
(2)通常、小児にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日1回500mg/m2(体表面積)を静脈内に
注射する。原則として投与間隔を4週間とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。
〈ネフローゼ症候群(副腎皮質ホルモン剤による適切な治療を行っても十分な効果がみられない場合に限る。)〉
【① 経口用エンドキサン原末】
本剤を溶解し,通常,成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日50~100mgを8~12週間
経口投与する。なお,年齢,症状により適宜増減する。
本剤を溶解し,通常,小児にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日2~3mg/kgを8~12週間
経口投与する。なお,年齢,症状により適宜増減するが,通常1日100mgまでとする。原則として,総投
与量は300mg/kgまでとする。
【② エンドキサン錠50㎎】
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日50~100mgを8~12週間経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
通常、小児にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日2~3mg/kgを8~12週間経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、通常1日100mgまでとする。原則として、総投与量は300mg
/kgまでとする。
〈細胞移植に伴う免疫反応の抑制〉
【② エンドキサン錠50㎎】
再生医療等製品の用法及び用量又は使用方法に基づき使用する。
薬理作用
免疫抑制作用
使用例
原則として、「シクロホスファミド水和物【内服薬】・【注射薬】」を「後天性血友病A」に対して処方・使用した場合、当該使用事例を審査上認める。
使用例において審査上認める根拠
薬理作用が同様であり、妥当と推定される。
留意事項
(1) 当該使用例の用法・用量
1~2mg/kg/日の経口投与を基本とする。経口投与が困難な場合は、注射薬を使用する。
(2) 副作用として、骨髄抑制や出血性膀胱炎、間質性肺炎、肝機能障害、腎機能障害等が生じることがあるの
で、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な対応を行う。とくに、後天性
血友病は高齢者の発症が多く、感染症の発症には十分注意する。
(3) 本剤は、ステロイド不応例や難治例に用いることとし、第一選択として用いるべきではないこと。ただ
し、重症例にあってはこの限りではないこと。
その他参考資料
(1) 後天性血友病A診療ガイドライン 2017年改訂版
(2) Diagnosis and management of acquired coagulation inhibitors: a guideline from UKHCDO
(3) Acquired inhibitors of clotting factors: AICE recommendations for diagnosis and management
お問い合わせ
審査統括部 内科審査課、外科・混合審査課
〒105-0004 東京都港区新橋二丁目1番3号
電話:03-3591-7441
