354 シクロホスファミド水和物③(造血細胞移植2)
最終更新日:2021年9月27日
《令和3年9月27日新規》
標榜薬効(薬効コード)
アルキル化剤(421)
成分名
シクロホスファミド水和物【注射薬】
主な製品名
注射用エンドキサン100mg、注射用エンドキサン500mg
承認されている効能・効果
(1)下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解
多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、肺癌、乳癌、急性白血病、真性多血症、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌、
神経腫瘍(神経芽腫、網膜芽腫)、骨腫瘍
ただし、下記の疾患については、他の抗悪性腫瘍剤と併用することが必要である。
慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、咽頭癌、胃癌、膵癌、肝癌、結腸癌、睾丸腫瘍、絨毛性疾患(絨
毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)、横紋筋肉腫、悪性黒色腫
(2)以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)
(3)褐色細胞腫
(4)下記疾患における造血幹細胞移植の前治療
急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、重症再生不良性貧血、悪性リンパ腫、遺伝性疾患
(免疫不全、先天性代謝障害及び先天性血液疾患:Fanconi貧血、Wiskott-Aldrich症候群、Hunter病等)
(5)腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置
(6)治療抵抗性の下記リウマチ性疾患
全身性エリテマトーデス、全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈
炎、好酸球性多発血管炎性肉 芽腫症、高安動脈炎等)、多発性筋炎/皮膚筋炎、強皮症、混合性結合
組織病、及び血管炎を伴う難治性リウマチ性疾患
承認されている用法・用量
<前(1)>
ア 単独で使用する場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日1回100mgを連日静脈内に注射し、患者が
耐えられる場合は1日量を200mgに増量する。
総量3000~8000mgを投与するが、効果が認められたときは、できる限り長期間持続する。白血球数が
減少してきた場合は、2~3日おきに投与し、正常の1/2以下に減少したときは、一時休薬し、回復を待って
再び継続投与する。
間欠的には、通常成人300~500mgを週1~2回静脈内に注射する。必要に応じて筋肉内、胸腔内、腹腔内
又は腫瘍内に注射又は注入する。
また、病巣部を灌流する主幹動脈内に1日量200~1000mgを急速に、あるいは、持続的に点滴注入する
か、体外循環を利用して1回1000~2000mgを局所灌流により投与してもよい。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
イ 他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合
単独で使用する場合に準じ、適宜減量する。悪性リンパ腫に用いる場合、通常、成人にはシクロホスファ
ミド(無水物換算)として1日1回750mg/㎡(体表面積)を間欠的に静脈内投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<前(2)>
ア ドキソルビシン塩酸塩との併用において、標準的なシクロホスファミドの投与量及び投与方法は、シクロ
ホスファミド(無水物換算)として1日1回600mg/㎡(体表面積)を静脈内投与後、20日間休薬する。これ
を1クールとし、4クール繰り返す。
なお、年齢、症状により適宜減量する。
イ エピルビシン塩酸塩との併用において、標準的なシクロホスファミドの投与量及び投与方法は、シクロホ
スファミド(無水物換算)として1日1回600mg/㎡(体表面積)を静脈内投与後、20日間休薬する。これを
1クールとし、4〜6クール繰り返す。
なお、年齢、症状により適宜減量する。
ウ エピルビシン塩酸塩、フルオロウラシルとの併用において、標準的なシクロホスファミドの投与量及び投
与方法は、シクロホスファミド(無水物換算)として1日1回500mg/㎡(体表面積)を静脈内投与後、20日
間休薬する。これを1クールとし、4〜6クール繰り返す。なお、年齢、症状により適宜減量する。
<前(3)>
ビンクリスチン硫酸塩、ダカルバジンとの併用において、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日1回750mg/㎡(体表面積)を静脈内投与後、少なくとも20日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
<前(4)>
ア 急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群の場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回60mg/kgを2〜3時間かけて点滴静注
し、連日2日間投与する。
イ 重症再生不良性貧血の場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2〜3時間かけて点滴静注
し、連日4日間投与する。
ウ 悪性リンパ腫の場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2〜3時間かけて点滴静注
し、連日4日間投与する。
患者の状態、併用する薬剤により適宜減量すること。
エ 遺伝性疾患(免疫不全、先天性代謝障害及び先天性血液疾患:Wiskott-Aldrich症候群、Hunter病等)の
場合
通常、シクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2〜3時間かけて点滴静注し、連日4
日間又は1日1回60mg/kgを2〜3時間かけて点滴静注し、連日2日間投与するが、疾患及び患者の状態により
適宜減量する。
Fanconi貧血に投与する場合には、細胞の脆弱性により、移植関連毒性の程度が高くなるとの報告がある
ので、総投与量40mg/kg(5 〜10mg/kgを4日間)を超えないこと。<前(5)>再生医療等製品の用法及
び用量又は使用方法に基づき使用する。
<前(6)>
ア 成人
通常、シクロホスファミド(無水物換算)として1日1回500〜1000mg/㎡(体表面積)を静脈内に注射す
る。原則として投与間隔を4週間とする。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
イ 小児
通常、シクロホスファミド(無水物換算)として1日1回500mg/㎡(体表面積)を静脈内に注射する。原
則として投与間隔を4週間とする。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
薬理作用
抗腫瘍効果
使用例
原則として、「シクロホスファミド水和物【注射薬】」を「血縁者間同種造血細胞移植(HLA半合致移植)における移植片対宿主病の抑制」に対して投与した場合、当該使用事例を審査上認める。
使用例において審査上認める根拠
薬理作用が同様であり、妥当と推定される。
留意事項
(1)当該使用例の用法・用量
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2~3時間かけて点滴静注し、移植後3日目及び4日目又は移植後3日目及び5日目の2日間投与する。
(2)造血幹細胞移植に十分な知識と経験を有する医師のもとで行うこと。
(3)強い骨髄抑制により致命的な感染症等が発現するおそれがあるので、以下について十分注意すること。
ア 重症感染症を合併している患者には投与しないこと。
イ 本剤投与後患者の観察を十分に行い、感染症予防のための処置(抗感染症薬の投与等)を行うこと。
その他参考資料等
(1) 造血細胞移植ガイドライン HⅬA不適合血縁者間移植(第2版)
(2) Haploidentical hematopoietic cell transplantation for adult acute myeloid leukemia (postion statement、Haematologica. 2017;102:1810–1822)
お問い合わせ
審査統括部 内科審査課、外科・混合審査課、歯科審査課
〒105-0004 東京都港区新橋二丁目1番3号
電話:03-3591-7441
